格闘技の計量といえば、数日前から水分を絞り、ぎりぎりの体重で台に乗り、その後に一気に水分を戻す光景を思い浮かべる人が多いでしょう。
ONE Championshipの計量は、この前提が違います。選手は体重に加えて、水分が足りているかどうかの検査にも通らなければ試合に出られません。
2016年1月に始まった制度
ONEは2016年1月から、脱水による減量を禁じる計量プログラムを全選手に適用しています。
導入の直前には、中国の21歳の選手が減量に絡んで亡くなりました。
制度は、ONEの医療チームと競技チームの協議を経てまとめられたものです。
階級を決めるのは普段のトレーニング体重
ONEでは、選手の普段のトレーニング体重を「ウォーキングウェイト」と呼びます。
階級はこの体重をもとに割り当てられ、試合のオファーもウォーキングウェイトに基づいて出されます。
ウォーキングウェイトは、ONEと契約している期間を通じて定期的に記録されます。
階級は、上限をポンドで示した次の10階級です。
| 階級名 | 下限 | 上限 |
| ヘビー級 | 225ポンド | 265ポンド |
| ライトヘビー級 | 205ポンド | 225ポンド |
| ミドル級 | 185ポンド | 205ポンド |
| ウェルター級 | 170ポンド | 185ポンド |
| ライト級 | 155ポンド | 170ポンド |
| フェザー級 | 145ポンド | 155ポンド |
| バンタム級 | 135ポンド | 145ポンド |
| フライ級 | 125ポンド | 135ポンド |
| ストロー級 | 115ポンド | 125ポンド |
| アトム級 | 105ポンド | 115ポンド |
日本の感覚に合わせてキロに直すと、フライ級の上限135ポンドは約61.2キロ、バンタム級の145ポンドは約65.8キロ、フェザー級の155ポンドは約70.3キロです(換算値)。
試合週に何が行われるか
試合の24時間から48時間前に、全選手が計量とハイドレーション検査を同時に受けます。
検査は、医療技師の監督のもとで選手が尿を提出し、ONEの医師が屈折計で尿比重を測る方式です。
水分が足りていると判断される基準は、尿比重が1.025以下です。
水分と体重は連続で通す必要があります。
副社長のリッチ・フランクリン氏は、この流れを「試合の2日前に来て、排尿し、尿比重で水分状態を調べる。前日にも同じことを繰り返し、そのたびに水分と体重を同時にクリアしなければならない」と説明しています。
通らなかった場合
3時間の枠内で検査か計量に通れなかった選手にも、道は残されています。枠の外で水分が足りた状態の尿を提出し、計量を受ければ、キャッチウェイト(契約体重を変更した試合)の交渉に進めます。
成立する条件は、両選手が互いの公式な水分充足時の体重の105パーセント以内に収まっていることで、失敗した側はファイトマネーの一部を対戦相手に渡します。
実際の例が2つあります。ONE 161では、中国のキックボクサー、ハン・ズーハオが体重と検査の両方に通りませんでした。
ONEは試合を1階級上げ、対戦相手のフェラーリ・フェアテックスとのカードは、フェザー級のムエタイとして行われました。
ONE: Lights Outの計量では、バンタム級MMA王者のビビアーノ・フェルナンデスが朝の検査に落ち、夕方に量った体重は147ポンドで、制限を2ポンド超えていました。
同じ日の朝には、ほかに6人の選手が検査に落ちましたが、公式計量が終わる夕方までに、フェルナンデスともう1人を除く全員が基準内に戻したと伝えられています。
ONE 161の結果表には、尿比重の数値も載っています。
ペッチモラコットが155.00ポンドで1.0057、タワンチャイが154.50ポンドで1.0053でした。
ヘビー級キックボクシングのロマン・クリクリャは1.0229で、基準の1.025以下に収まっています。
まとめ
ONE Championshipでは、選手の健康を守り、過度な水抜き減量を防ぐため、ハイドレーション検査と体重測定を組み合わせた計量制度を採用しています。
通常の体重測定とは異なり、規定体重をクリアするだけでなく、体内の水分状態も確認される点が大きな特徴です。
選手が普段の体重からどの程度減量しているのか、そして計量をどのようにクリアするのかを知ることで、ONEの試合をより深く楽しめるはずです。











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