日本銀行は6月15〜16日に開く金融政策決定会合で、政策金利を現状の0.75%から1.0%に引き上げる方針です。物価の上振れが続く中での決定となります。
政策金利が1.0%に達すれば、新日銀法施行前の1995年以来、31年ぶりの高水準となります。
2024年3月のマイナス金利政策の解除を含め、植田和男総裁の下での利上げは5回目です。
市場では今月会合での利上げ観測が強まっており、金利スワップ市場が織り込む利上げ確率は約89%と、1週間前の約77%から上昇しています。
ただし、日銀は現時点で連続的な大幅利上げが必要とは判断していないとしつつも、物価の上振れリスクが続く可能性は大きく、年内の追加利上げの余地もあるとしています。
住宅ローンへの影響
家計への影響として最も直接的なのが、変動金利型住宅ローンの返済増です。
住宅金融支援機構の調査(2025年4月)によると、利用した住宅ローンの金利タイプは「変動型」が最も多く、79.0%を占めています。変動金利を選んでいる方は、今回の利上げを他人事にできません。
返済額の変化について、具体的な数字を見ておきます。3,500万円を35年ローンの変動金利で借り入れている場合、金利が0.25%上昇すると月々の返済額は約4,000円増え、35年間の総返済額はおよそ160万円増加します。
今回の利上げ幅は0.25%ですが、マイナス金利解除からの累計で考える視点も必要です。
借入3,000万円・35年ローン・変動金利の条件で試算すると、金利が1%上がると月々の返済額は約1万4,000円増加します。年間では約16万8,000円、35年間の総返済額ではおよそ588万円の負担増です。
ただし、多くの金融機関では変動金利に「5年ルール」「125%ルール」を設けているため、利上げがあっても返済額がすぐ増えるわけではありません。
とはいえ、これはあくまでも一時的な緩衝措置であり、元本の減り方が鈍くなるリスクを伴います。金利の動向は引き続き注視が必要です。
固定金利への切り替えを検討している方は、フラット35の金利(最低値)は2026年1月時点で2.08%と、2%を超えています。
固定に切り替えると月々の返済額は増えますが、今後の追加利上げリスクをそこで遮断できます。変動か固定かの判断は、残りのローン期間や手元資金の余裕とセットで考えてください。
預金・貯蓄への影響
住宅ローンの負担増が注目されがちですが、預金者にとっては有利な方向です。
マイナス金利が解除される前の普通預金金利は0.001%程度でしたが、2025年6月時点では0.2%程度まで上昇しています。
今回1.0%への引き上げが実施されれば、各銀行がさらなる預金金利の見直しを進めると見られます。
定期預金と普通預金の金利差は2026年2月時点で0.4%ポイントまで拡大しており、2000年代後半の利上げ局面を上回る水準です。
普通預金に置きっぱなしにするより、定期預金に振り分ける選択肢を今一度見直す価値があります。
資産運用との向き合い方
金利が上がること自体がリスクなのではなく、「賃金が上がらないのに金利が上がることがリスク」という点を忘れてはなりません。
賃金が同じように上がっているのであれば、金利コストを支払う原資はあります。
また、物価が上がりやすい今は企業業績も伸びやすく株価も上がりやすい環境であるため、インフレを家計の味方につけるという観点から資産運用を検討することも選択肢のひとつです。
みずほ総合研究所の試算では、2030年末時点の家計金融資産残高は約2,600兆円まで増加し、増加分の大半が株式・投資信託となる見込みです。
金利上昇を受けた運用ニーズの拡大を背景に、定期預金や債券も緩やかに増加するとされています。
預金・投資・ローンの三つを同時に見直す機会が、今この時期に来ています。
まとめ:今やっておくべき3つのこと
今回の利上げを受けて、家計で確認しておくべき点を三つ挙げます。
住宅ローンを変動金利で借りている方は、まず現在の残高と残り期間を確認してください。
月々の返済がいくら増えるかを数字で把握することが出発点です。金融機関のシミュレーターで簡単に試算できます。
次に、普通預金に眠っている資金の一部を定期預金に移すことを検討してください。金利差が広がっている今、ただ置いておくだけでは機会を逃します。
最後に、追加利上げの可能性を踏まえて、家計全体のキャッシュフローを点検してください。
教育費や光熱費など他の支出が増える時期と返済増が重なるかどうか、先を見越した確認が大切です。
金利のある世界は、お金を借りる人だけでなく、お金を持つ人にとっても動きやすい環境です。受け身にならず、自分の状況に合わせた判断を取っていきましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買や投資判断を推奨するものではありません。個別の状況については、ファイナンシャルプランナーや金融機関への相談をご検討ください。


















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