「私はそんなに食べていないはずなのに、なぜか体重が増えていく・・・」
ダイエットに励む多くの人が直面する、このミステリアスで絶望的な現象。
実は、医学や栄養学の視点から見ると、そこには「食べていない」という主観的な感覚と、「実際に摂取・吸収されているエネルギー」との間の深刻なズレ、つまり「落とし穴」が必ず隠れています。
本記事では、努力が空回りしている人が無意識にハマっている罠を解き明かし、停滞期を打破するための正解を提示します。
「無意識のつまみ食い」が記憶から消えている
「食べていない」と主張する人の多くがハマっている最大の落とし穴は、「食事」としてカウントしていない摂取エネルギーの蓄積です。
- 調理中の味見: ほんの数口でも、油分や塩分が含まれればカロリーになります。
- 家族の残り物: 「もったいない」と口にした子供の数口分のご飯が、積もり積もって一食分に相当することも珍しくありません。
- デスクサイドの小袋: 仕事中に一粒ずつ食べるチョコレートやナッツ。これらは脳が「食事」と認識しにくいため、記憶に残りません。
人間は、自分が食べたものを平均して2〜3割ほど過小評価するという研究データもあります。
「食べていない」のではなく、「食べたことを忘れている」可能性を疑うのが、改善の第一歩です。
液体カロリーという「見えない伏兵」
固形物を減らしていても、飲み物から大量のエネルギーを摂取しているパターンです。
- カフェラテやスムージー: 「体に良さそう」なグリーンスムージーや、牛乳たっぷりのラテは、実は糖質や脂質の塊である場合が多いです。
- 清涼飲料水・アルコール: 液体は胃を通り抜けるスピードが速く、満腹感を与えません。しかし、インスリン値を急上昇させ、脂肪を溜め込みやすい状態を作ります。
特に「お酒は飲むけれどご飯は食べない」というタイプは、アルコールによる代謝の低下と、おつまみの高脂質というダブルパンチを食らっていることが多々あります。
極端な食事制限による「省エネモード(ホメオスタシス)」
皮肉なことに、「本当に食べていない」からこそ太るという現象も存在します。
人間の体には、摂取エネルギーが極端に減ると、生命を維持するために消費エネルギーを節約しようとする「ホメオスタシス(恒常性)」という機能が備わっています。
- 基礎代謝の低下: 少ない燃料で動けるよう、体が「省エネモード」に入ります。
- 筋肉の分解: エネルギーが足りないと、体は脂肪よりも先に、維持コストの高い「筋肉」を分解してエネルギーに変えてしまいます。
その結果、以前と同じ量を食べてもエネルギーが余り、脂肪として蓄積されやすい「太りやすく痩せにくい体」が完成してしまいます。
これがリバウンドの正体です。
「ヘルシー食品」の過信と脂質の罠
「サラダしか食べていないのに」という言葉の裏には、ドレッシングやトッピングの落とし穴があります。
- ドレッシング: 市販のドレッシング、特に「クリーミー」なタイプや「ノンオイルではない」ものは、大さじ数杯で唐揚げ数個分に匹敵する脂質を含むことがあります。
- 良質な油の摂りすぎ: アボカド、ナッツ、オリーブオイル。これらは健康に良いですが、カロリー密度は非常に高いです。「体に良い=いくら食べても太らない」というわけではありません。
「何を食べたか」という種類に注目するあまり、「どれだけエネルギーが含まれているか」という量的な視点が欠落しているケースです。
睡眠不足とストレスが招く「ホルモンの乱れ」
食事量とは関係なく、体の「設定温度」を決めるホルモンが狂っている場合も、「食べていないのに太る」感覚を強めます。
- コルチゾールの過剰分泌: 強いストレスを受けると分泌されるコルチゾールは、内臓脂肪を溜め込む働きがあります。
- 睡眠不足: 食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減り、食欲を増進させるホルモン(グレリン)が増えます。また、睡眠不足の状態では脳の判断力が鈍り、高カロリーなものを無意識に選んでしまう傾向が強まります。
まとめ:正しく「食べて」痩せる体へ
「食べていないのに太る」という状態から脱却するには、気合や根性ではなく、客観的な視点が必要です。
- 3日間だけ、全ての口に入れたものを記録する(写真に撮るのが効果的です)。
- タンパク質をしっかり摂る(筋肉を落とさず代謝を維持するため)。
- 液体カロリーを水かお茶に変える。
- 7時間以上の睡眠を確保する。
「食べない」という引き算のダイエットではなく、体を正しく機能させるための「栄養の最適化」という足し算の思考を持つこと。
それが、あなたがハマっている落とし穴から抜け出す唯一のルートです。






















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