「また同じところを痛めてしまった」
「人より怪我をしやすくて思い切りプレーできない」
そんな悩みを抱えていませんか?
練習熱心な人ほど、怪我を「運が悪かった」とか「根性が足りない」で片付けてしまいがちですが、実はその多くに「動作の不全」という明確な理由が隠れています。
体の一部に過度な負担がかかる動きを繰り返していれば、どれだけ筋力があっても、どれだけケアをしていても、いつかは限界が訪れます。
本記事では、「怪我をしやすい人」が共通して見直すべき体の使い方について解説します。
自分の体と対話し、長くスポーツを楽しむためのヒントを見つけていきましょう。
「痛みがある場所」が原因とは限らない:キネティック・チェーン(運動連鎖)
怪我が多い人がまず理解すべきなのは、「痛みが出ている場所は、実は被害者である」という考え方です。
これを「運動連鎖(キネティック・チェーン)」と呼びます。
例えば、ジャンプの着地で膝を痛めたとします。
このとき、膝そのものに問題があることもありますが、多くの場合、原因は「足首の硬さ」や「股関節の筋力不足」にあります。
- 足首が硬い: 着地の衝撃を足首で吸収できず、上の関節である膝に衝撃がダイレクトに伝わる。
- 股関節が使えない: お尻の大きな筋肉が使えず、膝の小さな筋肉で踏ん張ってしまう。
このように、隣接する関節が本来の役割を果たしていないとき、そのしわ寄せが特定の部位に集中し、怪我へとつながります。
局所的な治療だけでなく、全身の動きを俯瞰で見ることが再発防止の第一歩です。
「Joint-by-Joint Theory」で知る関節の役割
理学療法士のグレイ・クックらが提唱した「Joint-by-Joint Theory」は、体の使い方を見直す上で非常に役立つ指標です。
人間の体は、「動くべき関節(モビリティ)」と「安定すべき関節(スタビリティ)」が交互に並んでいます。
| 関節部位 | 本来の役割 | 硬くなるとどうなるか? |
| 足首(足関節) | 可動性(動く) | 膝が過剰に動き、痛める |
| 膝関節 | 安定性(支える) | 動きすぎると靭帯や半月板に負担 |
| 股関節 | 可動性(動く) | 腰(腰椎)が代わりに動き、腰痛になる |
| 腰椎(腰) | 安定性(支える) | 動きすぎるとヘルニア等のリスク |
| 胸椎(背中) | 可動性(動く) | 肩や腰に負担がかかる |
怪我が多い人は、このリズムが崩れています。
例えば、股関節が硬い人は、本来安定すべき腰を無理にひねって動かそうとします。
これがスポーツにおける「腰痛」の正体です。
自分の怪我を振り返り、「本来動くべき関節がサボっていないか?」を確認してみましょう。
「エキセントリック収縮」で衝撃を制御する
スポーツ中の怪我の多くは、加速(動き出し)のときではなく、「減速(止まる・着地する)」の瞬間に起こります。
このとき重要になるのが、筋肉が伸びながら力を発揮する「エキセントリック(伸張性)収縮」です。
- 悪い例: 着地時に「ドスン」と音がする、あるいは膝が内側に入る。これは衝撃を骨や靭帯で受けてしまっている状態です。
- 良い例: 筋肉をバネのように使い、音を立てずにしなやかに衝撃を逃がす。
「止まる力」や「着地する力」が不足していると、関節は常に交通事故のような衝撃にさらされます。
筋トレにおいても、重りを「上げる」動作だけでなく、ゆっくり「下ろす」動作を意識することで、怪我に強い体を作ることができます。
体幹は「固める」のではなく「連動させる」もの
「体幹を鍛えれば怪我をしない」という言葉をよく耳にしますが、ただ腹筋を硬くすればいいわけではありません。
スポーツにおける正しい体幹の使い方は、「末端(手足)で生み出した力をロスなく伝える」こと、そして「不意の外力に対して背骨を守る」ことです。
いわゆる「リジディティ(剛性)」、つまり瞬時に体全体を一つのユニットとして固める能力が欠けていると、動作の途中で力が逃げ(リーク)、その負担が腰や肩に集中します。
- 呼吸(ドローインやブレーシング)で内圧を高める。
- その安定した軸の上で、手足を自由に動かす。
この「安定」と「可動」の分離ができて初めて、パフォーマンスは向上し、怪我のリスクは激減します。
まとめ:自分の体の「クセ」を知ることが最大の防御
怪我が多い状況を打破するためには、以下の3点を意識して練習やトレーニングを見直してみましょう。
- 痛みがある場所の「上下の関節」の動きをチェックする。
- 「動くべき関節(股関節・胸椎・足首)」の柔軟性を確保する。
- 衝撃を筋肉で受け止める(減速を意識する)スキルを磨く。
怪我は体からの「その使い方は間違っているよ」というサインです。
その声を無視して練習量を増やすのではなく、一度立ち止まって自分の動作をアップデートしてみてください。
それが結果として、最短距離で目標に到達する道になります。























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