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ナフサ不足が私たちの暮らしに迫る

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2026年2月、中東の緊張が一気に高まりました。

ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥り、日本のエネルギー・化学産業は大きく揺れています。

しかし「ナフサ不足」と聞いても、多くの方は「石油化学の話でしょ?」と思われるかもしれません。

実はそうではなく、私たちの日常生活のあちこちにその影響はすでに表れています。

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そもそもナフサとは何か

ナフサとは、原油を精製する過程で得られる液体状の原料です。

これを分解・加工することでエチレンやプロピレンが生まれ、やがてプラスチック・合成ゴム・合成繊維・塗料・接着剤といった、現代生活を支える膨大な製品へと姿を変えます。

その依存度の高さが問題です。日本が使うナフサの総需要は年間約3,347万キロリットル。

このうち中東産は国産ナフサの原料も含めれば実質8割超を占めており、ホルムズ海峡の封鎖は日本の化学産業に直接打撃を与えています。

住宅リフォーム・建築費の値上がり

最も身近な影響の一つが、家の建設・リフォームコストの上昇です。

断熱材、塗料、配管材、防水材、シーリング材、床材、壁紙、これらはすべてナフサ由来の素材を含んでいます。

国産ナフサ価格はすでに約125,000円/キロリットルと、従来比で約2倍に達しています。

この仕入れ値の高騰は、6〜7月以降の工事見積もりに直接波及する見通しです。

全国の住宅設備産業団体も「6月以降は第3波の値上げが予測される」と警戒感を示しています。

 

 

ユニットバスが「買えない」事態

大手衛生設備メーカーのTOTOは、ナフサ不足を理由にユニットバスの受注を一時停止しています。

浴室の壁や天井に使う接着剤、浴槽のコーティングに含まれる溶剤が調達できなくなったためです。

新築やリフォームで浴室の交換を検討している方にとっては、スケジュールが大幅にずれ込む可能性があります。

工務店から「着工の3ヶ月前から資材を確保しておく必要がある」と言われ始めているのも、こうした事情からです。

 

 

日用品・食品包装の値上がり

スーパーで手に取るペットボトル、食品トレー、レジ袋、包装フィルム、これらもナフサが出発点です。

プラスチック原料の供給が逼迫すれば、食品メーカーや小売業者はコスト上昇分を価格に反映せざるを得なくなります。

ナフサ不足による影響は石油化学業界だけにとどまらず、食品の包装を含むあらゆる産業分野へ波及していると専門家は指摘しています。

物価への波及は、すでに始まっているといえるでしょう。

 

 

塗料・シンナーの欠品

ホームセンターの棚からシンナーが消えている、という報道が出ています。

塗装や防水工事に欠かせない溶剤類もナフサ由来だからです。

日本接着剤工業会や日本塗装工業会も「原料の調達は厳しい状況にある」と公式にコメントしており、DIYや外壁塗装を計画している方は材料の入手困難に直面しているケースもあります。

 

 

自動車・家電製品の納期遅れ

自動車のバンパーや内装部品、電化製品の筐体、産業機械のシール材やゴムパーツ、こうした部品群はナフサ由来のプラスチック・合成ゴムでできています。

なかでも深刻なのは、Oリングやガスケットのような単価は安くても代替が利かない小物部品の不足です。

一点が欠けるだけで装置全体が止まってしまうため、家電や自動車の生産ラインが影響を受け、店頭在庫の枯渇や納期の長期化につながる恐れがあります。

医療現場への影響も懸念

医療用チューブ、注射器の容器、各種医療機器の部品にもプラスチックは不可欠です。

政府は「限られたナフサは医療・物流を優先する」方針を示しており、医療崩壊を防ごうとする姿勢は見えます。

ただ、サプライチェーン全体の目詰まりが続けば、医療現場においても一部で調達困難が生じるリスクは否定できません。

 

 

「物はあるのに届かない」流通の混乱

在庫があるのに現場に届かない。これが今回の問題の根深さです。

政府は「国内需要4ヶ月分を確保している」と説明しつつも、流通の「目詰まり」が各所で発生していることを認めています。

原因の一つは買い急ぎによる過剰確保で、特定の企業や用途に資材が集中してしまい、末端の中小企業や個人には行き渡りにくい構造が生まれています。

地方の小規模事業者や福祉・医療施設ほど、こうした影響を受けやすいとされています。

今後の見通し

現在、政府は米国からのナフサ輸入を急拡大させています。

2026年5月には米国産の輸入量が前年比約4倍に達する見通しで、中東以外の代替ルート確保も進んでいます。

中東情勢にも交渉を通じた改善の兆しが見え始めており、供給が完全に止まるような最悪の事態は回避できる可能性が高いと専門家は見ています。

一方で、調達先が中東から米国へシフトしたとしても、輸送コストや価格水準が以前に戻ることはなく、「供給不安」は「高止まり」へと形を変えていくというのが大方の見方です。

必要な工事や購入は早めに手を打つこと、そして物価上昇に備えながら状況を冷静に見守ることが、現時点でできる現実的な対応といえます。

 

参照:経済産業省

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