2026年4月12日、マリンメッセ福岡。RIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフが、久保優太を1RでTKO仕留め3度目の防衛に成功しました。
またしても1Rフィニッシュ。またしても、相手は成す術がありませんでした。
試合後のシェイドゥラエフのコメントが、その夜で最も重要な言葉だったかもしれません。
「RIZINには対戦相手がいない。次はUFCかPFLの最強の男と対戦したい」。
挑発でも強がりでもなく、淡々と、事実として語った言葉です。
では、その「最強の男」とは誰なのか。本稿では、UFCとPFLのフェザー級から、シェイドゥラエフと実現したら面白い3人を挙げます。
シェイドゥラエフという選手
まず前提として、このキルギス人ファイターの何が異質なのかを整理しておく必要があります。
RIZINに初参戦した2024年6月から現在まで、武田光司、フアン・アーチュレッタ、久保優太(2度)、ビクター・コレスニック、クレベルコイケ、朝倉未来と戦い、全試合を2R以内でフィニッシュしています。
バックボーンはレスリング。しかしRIZINのリングで見せたのは、それだけではありませんでした。
組んでもよし、殴ってもよし。相手がどう逃げても、詰めて、崩して、沈める。
バリエーションがないのではなく、どの局面でも優位に立てるから同じ展開になる。そういうタイプの強さです。
今回の久保戦でも、打撃での距離管理という対策を練ってきた挑戦者に対し、意に介さず圧力をかけてケージに追い込み、テイクダウンからパウンドでTKO。
前回と全く同じ展開でした。対策が通じない。それは選手としての壁の高さを示しています。
UFC篇:モサール・エブロエフ(ロシア / 20勝0敗)
同じスラブ圏の無敗ファイター同士という一戦は、MMAファンが最も見たい組み合わせの一つでしょう。
エブロエフは2026年現在、UFCフェザー級ランキング1位。
ディエゴ・ロペス、アルジャメイン・スターリング、アーノルド・アレンなど上位陣を次々と退けてきました。
3月のUFCロンドンでは、無敗同士の一戦でリーロン・マーフィーを下し、依然として無敗を維持。
次のフェザー級タイトル挑戦者として名乗りを上げています。
グレコローマンレスリングのマスタースポーツを持つエブロエフの強みは、レスリングプレッシャーとポジショナルコントロール。
派手なフィニッシュこそ少ないですが、エリートファイターを長くて苦しいラウンドに引き込む能力は世界トップクラスです。
シェイドゥラエフとの共通点はレスリングベースですが、そこに違いがあります。
エブロエフは判定で削る。シェイドゥラエフは1Rで沈める。どちらが上のレスリングを持つかという問いへの答えを、実際に見てみたいです。
打撃の交換が起きた瞬間にシェイドゥラエフの本領が発揮される可能性も高く、5ラウンド全部使えば最高の技術戦になります。
UFC篇:レロン・マーフィー(イングランド / 17勝1敗1分)
17勝1敗1分のマーフィーは、2025年8月のUFC319でアーロン・ピコをスピニングバックエルボーでKO。フェザー級のタイトル争いに名乗りを上げました。
マーフィーは純粋なストライカーとして見たとき、シェイドゥラエフの穴をつく可能性がある数少ない選手です。
距離管理、手数、打撃の多彩さ。RIZINで「打撃で対抗しよう」とした選手たちが全員同じ末路をたどってきた中で、マーフィーのレベルは一段上に位置します。
ただし、テイクダウンの圧力に対してどう対処するかは未知数。
ケージレスリングで優位を取られた瞬間に、チェスの盤面がひっくり返る可能性もあります。だからこそ面白い対戦です。
PFL篇:モブリッド・ハイブラエフ(ロシア / 24勝0敗)
2025年PFLフェザー級トーナメント王者のモブリッド・ハイブラエフは、EPO陽性による1年間の出場停止処分を受け、タイトルも剥奪されました。
汚点がついたことは事実ですが、カビブ・ヌルマゴメドフの長年の練習パートナーであり、コーチとしてカビブが試合に帯同するほどの信頼関係を持つファイターです。
なぜこの選手を挙げるか。バックボーンとスタイルが、シェイドゥラエフとほぼ鏡のように重なるからです。
ダゲスタン系のサンボ・レスリングベース、圧力で押し込んでのグラウンドコントロール、高いMMAIQ。
お互いが「同じ型の強さ」を持ちながら、どちらがより高い水準にいるかを見極める試合になります。
処分が明け、2026年8月以降に復帰が可能になります。実現するとすれば来年以降。それでも、最も「答えが出る」試合になる可能性があります。
問題は規約ではなく意思決定
この3試合は、技術的には実現可能です。RIZINは過去にも海外プロモーションとの交流戦を実現させてきました。ただし障壁がないわけではありません。
シェイドゥラエフ自身は「どういう相手と組んでくれてもそのオファーを喜んで受けて対戦します」と繰り返し語っています。
選手側の意欲はあります。あとはプロモーター間の交渉と、各選手の所属契約次第です。
榊原CEOは今年のテーマを「RIZIN vs. 世界」と定めており、今大会の感想として「この悶々とした気持ちが次のイベントへの期待につながる」と語りました。
シェイドゥラエフが強すぎてRIZIN内での消化試合感が出てきたのは、榊原氏も分かっているはずです。
試合後の総括でもPFLの方が可能性が高いといったニュアンスの話をしていました。
確かにUFCのランカーがRIZINに出場するというのは現実的ではありませんし、シェイドらエフがUFCにいったとして朝倉海選手のようにいきなりタイトルマッチが組まれる可能性も0に近いと考えるのが妥当でしょう。
19勝0敗、全試合2R以内フィニッシュ。これほどの成績を持ちながら、世界的な知名度がまだ追いついていない。
その乖離こそが、逆に言えば今のシェイドゥラエフの伸び代です。
フェザー級の世界地図で、このキルギス人がどこに位置するのか。その答えを、誰もが見たがっています。






















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