PR

オレクサンドル・ウシク:2階級4団体統一を成し遂げた最強王者

スポンサーリンク

 

オレクサンドル・ウシクは1987年1月17日、当時のソビエト連邦、現在のウクライナ・シンフェロポリに生まれました。

幼少期は病気がちだったこともあり、医師の勧めで様々なスポーツに触れたといいます。

民族舞踊や柔道も経験しましたが、もっとも熱中したのはサッカーで、地元のユースクラブでプレーしていました。

しかし家庭の経済状況からサッカーの費用を継続的に払うことが難しくなり、無料で通えるボクシングクラブへ移ったことが、後の世界的なボクサー誕生のきっかけとなります。

当初は体が弱いことを理由にコーチから入会を渋られましたが、専門コーチのセルゲイ・ラピン氏がその素質を見抜き、本格的な指導が始まりました。

このラピン氏は、後年プロに転向してからもウシクのマネージャーを務めています。

スポンサーリンク

アマチュアでの強さとロンドン五輪金メダル

アマチュア時代のウシクは、2006年のヨーロッパ選手権でミドル級に出場して銅メダル、2008年には階級を上げたライトヘビー級で金メダルを獲得しています。

同年の北京五輪はヘビー級で出場したものの準々決勝で敗退しました。

2009年の世界選手権では準決勝で敗れて銅メダルにとどまりましたが、2011年の世界選手権では、後にライトヘビー級で世界王者となるアルツール・ベテルビエフを準々決勝で破り、金メダルを獲得します。

そして2012年のロンドン五輪では、準々決勝で再びベテルビエフを、準決勝でテルベル・プレフを退け、決勝でクレメンテ・ルッソーを破って金メダルに輝きました。

 

 

判明しているアマチュア戦績は93勝16敗です。

オリンピック後、ウシクはキエフに拠点を移し、ウラジミール・クリチコとビタリ・クリチコの兄弟が率いるK2プロモーションズと契約してプロに転向します。

2013年11月にデビュー戦を5回TKOで飾ると、WBOインターコンチネンタル王座を経て、着実にキャリアを積み重ねていきました。

クルーザー級制覇:史上初の4団体統一

2016年9月、WBO世界クルーザー級王者クシシュトフ・グウォヴァツキを判定で破り、初めての世界王座を手にします。

その後、トニー・ベリューの弟子筋にあたる強豪たちを次々と退けると、2017年からは世界最強のクルーザー級選手を決めるトーナメント「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ」に参戦しました。

準々決勝でマルコ・フックをTKOで下し、準決勝ではWBC王者マイリス・ブリエディスとの統一戦を判定で制して決勝に進出します。

2018年7月、モスクワのオリンピック・スタジアムに2万4000人を集めた決勝戦で、WBA・IBF統一王者ムラト・ガシエフと対戦し、判定で快勝。

 

 

WBA、WBC、IBF、WBOの主要4団体すべてを統一し、男子ボクサーとして4人目となるクルーザー級4団体統一王者となりました。

この功績により、モハメド・アリの未亡人からトーナメット優勝トロフィーを贈られ、WBCからはダイヤモンド王座も授与されています。

ヘビー級転向、ジョシュア撃破による2階級制覇

2019年、ウシクはより大きな舞台を求めてヘビー級へ転向します。

2019年10月のチャズ・ウィザースプーン戦、2020年10月のデレク・チゾラ戦を判定で制すると、2021年9月25日、ロンドンのトッテナム・ホットスパースタジアムに6万人を超える観客を集め、WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者アンソニー・ジョシュアに挑みます。

フットワークとディフェンス技術を軸にした試合運びで判定勝ちを収め、クルーザー級に続く2階級目の世界王座制覇を成し遂げました。

 

 

その後、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて一時は祖国防衛のため領土防衛隊に入隊しましたが、政府の許可を得て練習を再開し、2022年8月にはサウジアラビアでジョシュアとの再戦に臨み、再び判定で退けています。

 

 

フューリーとの2度の激闘、そして史上初の4団体統一

2024年5月18日、サウジアラビア・リヤドでWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリーと対戦しました。

2-1の接戦を判定で制し、ヘビー級史上初となる4団体王座統一を達成します。

この試合のために特別に用意された「アンディスピューテッド王座」も獲得し、テレンス・クロフォード、井上尚弥に次いで史上3人目となる2階級での4団体統一を成し遂げました。

同年6月にはIBFの指名試合規定に従いIBF王座を返上し、同年12月には同じ相手とのダイレクトリマッチを判定で制しています。

2025年7月19日、ロンドン・ウェンブリー・スタジアムで、IBF王者に昇格していたダニエル・デュボアとの再戦(統一戦)に臨みました。

序盤から的確なパンチでペースを握ると、5回にKO勝ちを収め、IBF王座を取り戻して4団体統一王者に返り咲きます。

 

 

両者は2023年8月にも対戦しており、この時はローブローをめぐる論争を含みながらもウシクがKO勝ちしていました。

まとめ:異色の一戦と近づく引退

4団体統一を果たした後のウシクは、同年11月にWBOから指名された暫定統一王者ファビオ・ウォードリーとの対戦を見送り、WBO王座を返上します。

そして2026年5月23日、エジプト・ギザのピラミッド前特設会場で、元GLORY世界ヘビー級王者のキックボクサー、リコ・ヴァーホーベンとのWBC世界ヘビー級タイトルマッチという異色の一戦に臨みました。

 

 

この試合はウシク自身にとって想定外の苦戦となり、10回終了時点のジャッジスコアは互角かヴァーホーベン優位という内容でしたが、11回に右アッパーで相手からダウンを奪い、TKO勝ちで無敗記録を守っています。

この一戦の前後から、ウシクは現役生活の終わりが近いことをたびたび口にするようになりました。

「残りは多くて3試合」だと語り、デオンテイ・ワイルダーとの対戦を希望する一方、2026年6月には保有する世界王座を返上する意向を示しています。

ただし、即時の引退は否定しました。本稿執筆時点でのプロ戦績は25戦25勝(16KO)、無敗を保っています。

現役を通じてウシクを特徴づけてきたのは、ヘビー級には珍しい軽やかなフットワークと、相手の攻撃をほぼ受けずに間合いを支配するディフェンス技術でした。

クルーザー級、ヘビー級の2階級でそれぞれ主要4団体を統一するという記録は、現時点でもボクシング史上ごく少数の選手しか達成していません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました